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2013年05月16日
今春、「パーマネント・ファニチャー・ムーブメント(pfm)」による初めての新作発表会が松本で行われました。
開運堂本店に展示されたpfmのダイニングセット
pfmというのは、「職人に徹した物づくりを実践し、技術をシェアし、分業することで機能的にも価格的にもよりよいもの作りたい」と、松本・入山辺の前田大作さんと朝日村の藤牧敬三さん、2人の木工作家が始めた活動です。前田さんは「atelier m4」、藤牧さんは「Style Galle」としてそれぞれご活躍されている2人がどうしてこのタイミングでタッグを組んだのでしょう?
「たまたま出展していたイベントで、藤牧さんに声をかけてもらいました」と前田さん。「僕が『木工を新しくしたい』と話した記事を藤牧さんが読んでくれていて。先輩である藤牧さんに知ってもらえていたこと、声をかけてもらったことが嬉しくて」と振り返ります。
偶然出会った2人が共にした思いは「無垢の木工家具をもっと素敵に、もっと求めやすい価格で作れないだろうか」ということ。企画とデザインは前田さん、制作は藤牧さんと「分業」することでそれが可能になるのではないかと考え、作品を作り始めました。
3月に3日間行われた新作発表会の会場となったのは飲食店や和菓子店、洋品店、人形店など市内にある7つのお店でした。
cucinaにし村(左)、ことの葉(右)
k’not a knot・New Ordinaryのミラーは既に店内の一部のよう
イタリア料理店「cucina(クチーナ)にし村」には木べらとスツール、貸本スペースがある花屋「ことの葉」にはブックシェルフ、オーダースーツやインテリア雑貨を扱う「k’not a knot・New Ordinary」にはミラーなど、お店に合わせたアイテムが並びます。
ジュエリーサロン鶴にはショーケースの前にバースツールが
ワヰン酒場かもしやにはカッティングボードを
村山人形店の村山謙介さんは「商店と作り手が一緒に何かできれば」と話します。今回はお店のショーウインドウにオーディオボードを置きました。畳にもしっくりと馴染んでいます。
村山人形店のショーウインドウ
展示のための広いスペースの確保は難しくても、ちょっとしたスペースを使っての展示なら協力しやすいと、皆さん快諾してくださったそうです。
作り手と使い手、そしてそれが交わる「まち」。一つひとつの動きは少人数で小さいかもしれません。それでもその小さい動きが少しずつ繋がることで、また次の動きが始まっていく…。
前田さんが言っていた「pfmは活動ではなく、運動(ムーブメント)」という言葉。ムーブメントは目には見えないものだけど、動き出していることを感じるには十分だと思います。街を歩けば、そこに、確かに。
※現在、開催中の「工芸の五月」。藤牧さんの新しいギャラリー「galle_f(ガレ・エフ)」ではpfmの新作発表会が行われます。そして市内の商店では「商店と工芸」も。歩くのにもいい季節になりましたので、ぜひ。
pfm新作家具発表会 diningChair&kidsChair
開催期間:2013.05.17~05.26 10:00~17:00 木曜定休
galle_f
〒390-1611 長野県塩尻市北小野4133-130
tel/fax 0263-55-7471
商店と工芸
開催期間:2013.05.25~05.26
期間中、村山人形店、開運堂本店、ジュエリーサロン鶴、k’not a knot・New Ordinary、トラットリア松本画廊、山田電器、つる新種苗で「松本暮らしの道具展」、「pfm新作発表会」、「若旦那とゆかりの職人展」が行われます。5/23には、村山人形店で七夕人形をつくるワークショップも行われます。