まつもとクラフトナビ > コラム > 松本みやげに「雷鳥張子」
2015年07月29日
地元の3人のクラフト作家、画家・小沢夏美さん、紙の箱作家・Akane Bon Bonさん、イラストレーター・野村剛さんが「松本らしい土産品をつくりたい!」と制作した「雷鳥張子」が、先月から販売されています。
雷鳥張子
雷鳥は、長野県の県鳥。国の特別天然記念で、物岐阜県・富山県の県鳥でもあります。
絶滅危惧種の指定を受けていて、保全事業の取り組みが行われており、ちょうど最近、東京・上野動物園や富山市ファミリーパークでの人工孵化成功も話題になりました。
その雷鳥をモチーフに、「松本らしい土産品をつくりたい」というプロジェクトが始まったのは昨年12月。きっかけは、Akaneさんの小さなつぶやきでした。
Akaneさんが何気なく投稿したツイッター
このつぶやきに、すぐに2人が反応。「とにかく1回集まって話そう」と集合し、それぞれ形を考えて次回持ち寄ろうということになりました。Akaneさん自身「こんなに早く動き出すことになるとは…!」と驚くほどの展開に。「あったら買いたいなあ…」と言っていた中川美里さんも加わって活動がスタートしました。
3人とも、張り子は初挑戦。型を取るまでは各自、胡粉を塗るのは皆で集まって、絵付けはまた各自、と制作を進めました。
そして6月中旬、できあがった張り子の梱包作業をするということで、Akaneさんの工房にお邪魔してきました。
Akaneさんの工房で作業中
張り子は3つとも、手のひらに収まる大きさ。それぞれ色も表情も違って味わいがあります。
小沢さんの雷鳥張子
小沢さんの雷鳥は、目の上の赤い肉冠が特徴。肉冠は羽が夏毛へと変わるころ、メスにアピールするためにオスの目の上に出てくるものです。
「この赤い部分を描きたかった」と小沢さん。おきあがりこぼしになっています。
野村さんの雷鳥張子
野村さんは雷鳥+岩山という形に。「見た人がすぐに雷鳥だと分かる感じにしたかった」と野村さん。
せっかくなので新しいものを作りたいという思いもあり、岩山に立つ雷鳥が生まれました。
Akaneさんの雷鳥張子
Akaneさんは、親子の雷鳥。小さいサイズでいろいろな形を試作していたら、「小さいのもかわいいから、親子にしたら?」と言われて親子にしたとのこと。親雷鳥をちょっと見上げるような角度の子雷鳥がかわいい…!
しおりも一緒に
野鳥に詳しい中川さんが解説を担当したしおりも同梱。「しおりがあると郷土玩具っぽさが増すかな、と」と笑顔を見せる中川さん。雷鳥に対する思いが綴られています。
ロゴは野村さん、包装紙は小沢さんが描いたもの。本当に一つ一つ、4人の手が気持ちを込めてつくり上げた雷鳥張子です。
一つ一つ梱包していきます
丁寧に箱詰め
包装も手作業で
始まったばかりのこのプロジェクトですが、4人には「地元の土産として定着させたい」という思いがあります。
今回は夏毛バージョンですが、半年後には白い冬毛バージョン、そして来年はまた夏毛バージョン…というふうに年2回、モデルチェンジしながらつくり続けることで、「定番土産」として定着することを目指しています。
Gargasでは山&鳥好きのオーナー夫妻ならではのディスプレイ
松本を訪れた人に、「お土産買うならこれ!」とおススメできる「雷鳥張子」。郷土玩具のような懐かしさと愛らしさを持つ、新しい土産物として地元に根付いてくれるような気がします。